サンフランシスコ・クロニクル 2006年10月26日
産業側がサンフランシスコ市を訴える
ビスフェノールAとフタル酸エステル類使用の
子ども用品の禁止条例


情報源:San Francisco Chronicle - October 26, 2006
SAN FRANCISCO City sued over ban on children's products using suspect chemicals
Plaintiffs say state law pre-empts the local ordinance
http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/c/a/2006/10/26/BAGEFM010Q1.DTL&hw=bisphenol&sn=001&sc=1000

抄訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年10月29日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_06/06_10/061026_sf_BPA_phthalates.html


■サンフランシスコ クロニクル紙10月26日の記事要約

  • 化学物質製造者、おもちゃメーカー、小売店、及び子ども用品店シティキッズは25日(水)、有害であると疑われているビスフェノールAとフタル酸エステル類を含むこども用おもちゃと子ども用品の販売を禁止したサンフランシスコ市を訴えた。
  • 本訴訟は、このサンフランシスコ市条例はカリフォルニア有害物質法(California Hazardous Substances Act)を含むカリフォルニア州法に準拠しないので無効であると主張している。
  • 訴訟団は、この条例の発効日12月1日を本訴訟が解決するまで延期するという暫定的禁止をサンフランシスコ最高裁に求めると思われる。
  • サンフランシスコ諮問委員会は本年6月に満場一致でこの条例を採択した。
  • この条例は、PVC可塑剤として使われるフタル酸エステル類と硬くて透明なプラスチックに含まれるビスフェノールAを含有する3歳以下の子ども用おもちゃと育児用品の製造、流通、販売を禁止するものである。
  • この条例は同市の”予防原則”に基づくもので(訳注1)、同諮問委員会は安全側に立ち、小さな子どもたちを守ることを望むと述べた。
  • 同様なこどものおもちゃと育児用品中のフタル酸エステル類の使用禁止は、欧州連合においても本年6月に発効した。(訳注2
  • 長年、EUではいくつかのフタル酸エステル類が動物にがんと生殖障害を及ぼすという増大する研究報告を検証し、これらの化学物質が人の健康に悪影響を及ぼすのではないかとの疑問を持った。
  • サンフランシスコ市は、おもちゃと子ども用品中のビスフェノールAを禁止した世界で唯一の都市である。ビスフェノールAはポリカーボネート・プラスチックの製造に使われ哺乳びんなど硬くて透明なプラスチックに用いられる。
  • 実験で、ビスフェノールAは哺乳びんから漏れ出すことが示されている。低用量でラットにがんを引き起こすことが示されている。
  • 訴訟団は、米食品医薬品局(FDA)及びヨーロッパと日本の科学機関は、ビスフェノールAの低用量暴露は人に健康影響を及ぼさないと言った−と述べた。
  • さらに訴訟団は、諮問委員会は投票にかける前に物質的影響を市に及ぼすかもしれない法の経済的な検証を求める投票者承認措置(voter-approved measure)であるカリフォルニア州のプロポジション1に準拠しなかったと主張した。
  • シティキッズの社長は記者会見で、販売量が落ちれば従業員数を減らすことになると述べた。
  • 訴訟団の他のメンバーは、アメリカ化学工業協議会(American Chemistry Council)、カリフォルニア小売業協会、カリフォルニア食糧雑貨商協会、子ども用品製造者協会である。

訳注1:サンフランシスコ市の予防原則

訳注2:欧州連合(EU)おもちゃでのフタル酸エステル類(DINP, DIDP, DNOP))使用禁止


化学物質問題市民研究会
トップページに戻る